「ケアマネジャーがいなくなる⁉」迫りくるケアマネロスを回避せよ!!

2022.01.17掲載
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 こんにちは。大阪介護転職ネットです!

 このところよく耳にするようになった介護業界の話題のひとつに、ケアマネジャーが次々と辞めてしまう、という何とも心配なものがあります。資格をとってキャリアアップし、意気揚々と仕事に励もうとしている新人ケアマネさんや、知識や経験豊富な地域から頼りにされているベテランケアマネさんまでが辞めてしまっている現状があり、大変危惧されています。

 今回この問題に関して取材させていただいた包括センター長さんは、以下のプロフィールをお持ちのTさんです。

「福祉業界歴は30年以上になります。特別養護老人ホーム、デイサービスで17年間、介護福祉士、ケアマネジャーを経験し、 地域包括支援センターで社会福祉士として相談業務に携わりました。 その後、地域包括支援センター長も務めました。講演活動なども行っています。非常に多くの場面でケアマネジャーさんと関わることが多く、ケースによりとても長いお付き合いになることもあります。」

 

 Tさんも懸念しているという、ケアマネが辞めてしまう事態ですが、その理由には大きく分けると3つあると言います。3つとは何か、そしてそれらに対する解決策、打開策はあるのか聞いてみました。

 

 

ケアマネが辞めたくなる理由その1

「膨大な業務量」

★介護保険制度のルールで覚える事、やることが多い

・ケアマネさんたちは、ルーティン業務としての新規訪問、アセスメント、記録、計画書の作成、サービス担当者会議、モニタリングなど、日々業務に追われています。

・そして、どこの事業所も書類作りに大変な労力を割かなければなりません。書類を作るために休日出勤するケアマネさんも沢山います。日々、お年寄りの困りごとやご家族の介護の状況、快適な生活というのが変化して行くからです。利用者さんとその家族が、支援の方法や介護保険サービスを変えたいと思ったとき、ケアマネがそ動かないと変えられないという厳しいルールがあるからです。

・「明日は休みだから、あさってやります」が通用しないことが現場ではしばしばあります。担当ケアマネジャーには代わりがいないからです。

・覚えなければならない必要な知識は、介護保険制度だけではないのです。介護保険制度の理解はもちろんですが、介護保険以外の福祉制度、例えば、生活保護制度、障害者福祉制度、市区町村独自の福祉制度、その地域の社会資源の把握、相談援助技術、クレーム対応といった、いわゆる標準装備で身につけなければいけないコミュニケーションスキルの習得も必須です。

・介護保険制度のルールは頻繁に変更されるのに加え、3年ごとに大きな法改正があります。それ以外にもイレギュラーでルールが変わっていくので、制度に振り回されます。

・介護保険制度のルール変更に常にアンテナを張っていて厳守していないと、監査の時にただでさえ少ない介護報酬を減算されたり、没収されるといったプレッシャーにさらされています。これはかなりキツイ事です。ケアマネの力量の問題ではなく、はっきり言って介護保険制度の設計の問題だと言って良いと思っています。

・やらなければならない業務、揃えなければならない書類が膨大ということに加え、「ケアマネジャー更新研修」をはじめ、研修も多いです。研修の日、ケアマネさんたちは、昼休み時間を削って、昼食を食べるのもままならず、電話で現場の対応をしています。1日研修で拘束されている間にも現場では困りごとが進行しています。虐待のケースやクレーマー家族の対応などをしながら、研修ではガッチリと拘束されています。いつまでこんな研修をやらせるんでしょう。

ケアマネさんが辞めてしまう理由その1、膨大な業務量、ケアマネさん個人の問題ではなく、制度の仕組みの問題

解決策:解決策として言えるのは、最新の情報を簡単に把握できる、仲間やネットワーク、ほっとできる癒しの人間関係づくりが一番の打開策だと思います。制度の最新情報を伝えてくれる福祉新聞やブログなどの記事、Youtubeなどで様々な動画を利用するなど、積極的な情報収集が大切です。

 

ケアマネが辞めたくなる理由その2

「孤独である」

★相談する相手がいない

・ケアマネは基本的に個人での業務です。経験を積んだ先輩ケアマネから業務を教えてもらえる特養やデイサービスのような学び方ができれば良いのですが、なかなかそうはいかないのが現状です。

・それぞれの地域の支援、例えば、どのデイサービスがいいか、どのヘルパー事業所がいいか、訪問看護はどこにお願いしたらよいか、などを経験しながら学んでいかなければなりません。これらは地域ごとで当然違ってきますので、テキスト的に学べるものではありません。

・研修期間のような期間を設けてくれる余裕のある事業所が非常に少ないのも学べる機会が少ない理由に挙げられます。1ヶ月先輩について学べるという事業所はましな方でしょう。その背景にあるのがやはり、介護保険制度上の問題です。

・ケアマネ事業所の収入源は、担当した利用者さんの介護報酬です。当然担当数しか入ってきませんから、スタッフの育成に回せる資金がない所がほとんどで、新人であってもひとりで現場へ送り出されることになります。

・ここで懸念される落とし穴があります。いきなり現場に出されるということは、諸先輩方もみんなそうしてきたということで、「あなたも出来て当然」のような空気感で、フォローがないということです。これは大変辛いことだと思います。辞めたくなるのも当然です。現場へ出て「はじめまして」と挨拶から始まり、利用者さんや家族の困りごとを聞き、すぐに答えられないと不信感を持たれます。困っている人というのは、すぐに解決の方法や答えを知りたいからです。

・すぐ困りごとの解決策を答えられるようになるには、ある程度の経験=期間が必要です。同じくらい、信頼関係を築くのにも期間が必要で、最低でも数か月はかかりますし、年単位でかかるケースもあります。信頼関係を築くには積み重ねる時間が必要なんです。でも信頼を失うのは一瞬です。何気ない一言などで信頼関係が一瞬で崩れてしまいます。ご家族の立場で考えてみると、ケアマネが新人だろうがベテランだろうがケアマネはケアマネなんですね。

・まだ経験の浅いケアマネさんにアドバイスできる事があるとすれば、その場で答える事ができなくてもOK!という事です。明確な答えをその場で出す、という考えは一旦脇に置いておいて、利用者さん、ご家族の想いを受け止めてみてください。そして、一旦職場に持ち帰り、一緒に考えてくれて、一緒に答えを出してくれる仲間に相談することです。そして、できるだけ早く返答することが大切です。

・同じ職場ににそういった相談をできるような人がいないようなら、地域包括支援センターでも他居宅のケアマネジャーに相談してみるのも良いです。そうして、返事を早くしてあげる事が大事です。早ければ早いほどいいです。その積み重ねが、信頼やスキルアップにつながります。

ケアマネさんが辞めてしまう理由その2、孤独

解決策:ケアマネさんが心の状態を保って成長していける最強の方法は、仲間づくりだと確信しています。癒し癒される人間関係や、頼れる先輩・同僚がいないと精神的に参ってしまうでしょう。参ってしまう前に、相談できる人を見つけましょう!!身近にいない場合は、SNSなどを利用してつながりを探すのもひとつの手です。

 

ケアマネが辞めてしまう理由その3

「懸命に働いているのに報われない」

★ケアマネが冷遇されてきた歴史

・介護職の給与アップはこれまでも、特定処遇改善加算などで取り組まれてきましたが、ケアマネは対象外でした。

・介護職からやっとの思いでケアマネの試験に合格し、晴れてケアマネになったのに、介護職で働いていたときより給料が下がった、という話も聞いています。

・給与に関しては、施設、法人ごとの給与分配の考え方によりかなり差が出てくるので、職場を選ぶ際は、しっかりと調べることをお勧めします。

・特定処遇改善加算に加えて、最近注目されているニュースに、介護職の賃上げ、約9,000円アップの話がありますが、ここでもケアマネは対象外ということのようです。
参考お役立ち情報
https://osaka-kaigo-tensyoku.net/information/info-139160/

・現場で必死にお年寄りやご家族と向き合って頑張ってきているケアマネさんからしたら、これらのニュースはモチベーションを大きく下げる要因になっています。

・給与面や業務量の処遇改善をケアマネジャーにスポットを当てて考えていかないと、優秀なケアマネジャーはどんどん辞めていってしまい、誰一人居なくなってしまうと危惧しています。

ケアマネさんが辞めてしまう理由その3、ケアマネに冷たい国

解決策:関係団体が諦めずに要望書の提出、国に現場を見てもらう働きかけを熱心にやっていく!現場もあきらめず声を上げよう!

 

★まとめとして

 「相談できる相手、情報を共有できる仲間をできるだけ多く見つけて、人とのつながりを強くすること、これがモチベーションを保ちつつ、地域で高齢者やご家族を支えるという、ケアマネジャーの価値ある仕事を続けていく肝になると思っています。

 ケアマネさんがイキイキと働き続けられるように、そして、ケアマネジャーになりたいという人が増えるように、今の仕組みが変わっていくことを願いつつ現場で働く皆さまをこれからも応援していきたいと思います。」

 以上、包括センター長、Tさんに聞いたお話でした。Tさん同様、皆さんの参考になれば幸いに思います。

 

 

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