訪問介護の「生活援助」が廃止?身体介護との違いを詳しく解説
こんにちは。大阪介護転職ネットです。
6月11日、政府は経済財政諮問会議にて、骨太の方針の初期案を出しました。
結論から申し上げますと、訪問介護の生活援助については、完全に廃止されるわけではありません。実際には「総合事業」への移管が検討されています。
今回は、生活援助が介護保険の対象から外れる意向を示した背景や、訪問介護で働く現場の声などをお伝えします。
そもそも、生活援助とは具体的にどのようサービスが当てはまるのでしょうか。
具体例とともに、身体介護と生活援助の違いについて簡単に説明します。ぜひ最後までお読みください。
政府は、高齢化および少子化について、持続可能なシステムを作る必要があるとし、医療や介護における保険料負担の上昇を抑えることが重要だと指示しました。
そのひとつとして、介護分野では、要介護2以下の訪問介護・通所介護に関して、生活援助を総合事業へ移管する計画を挙げたそうです。
総合事業(介護予防・日常生活支援総合事業)とは、自治体が管理しているサービスで、地域包括支援センターが管轄になります。
つまり、訪問介護の生活援助に関しては、国として責任を放置するという方針のようです。
国ではなく民間の管轄に移った場合、自治体によって、サービス内容や料金設定などが異なるでしょう。そのため、地域差が生じる可能性も考えられます。
現在、訪問介護の現場で働いている方々は、この問題に関してどのように思っているのでしょうか。
先に、訪問介護のサービス内容について簡単にご説明します。
訪問介護とは、ヘルパーなどが利用者の居宅に訪問し、介護を提供するサービスのことです。大きく分けて「生活援助」「身体介護」「通院等乗降介助」の3つに分けられます。
それぞれの違いをみていきましょう。
「生活援助」は、家事に関連する介護を指します。介護が必要になった結果、以前はできていたことができなくなった場合に、その支援を提供するものです。家事の範囲は広いので、生活援助として行ってはならないことを3つ挙げます。
1. 直接本人と関係しない支援
(同居家族の調理や洗濯物など)
2. 日常生活支援以外の支援
(草むしり、花の水やり、犬の散歩など)
3. 家事の範囲を超えた支援
(年末年始の大掃除や模様替えなど)
原則として、利用者の身体に直接触れて行う介護のことをいいます。簡単にいうと、入浴介助や食事介助などです。しかし、一部、身体に触れていない介護でも身体介護に該当する場合があります。
たとえば、服薬の見守りや、自立支援を目的とした利用者と一緒に行う家事も、身体介護です。
また「その他の専門知識・技術をもって行う利用者の日常生活上・社会生活上のためのサービス」も身体介護に含まれます。
具体的にいうと、通常の料理は「生活援助」の範囲内ですが、糖尿病患者向けの食事やカリウム制限食など、専門的な知識や技術を必要とする場合の料理は「身体介護」に該当する、ということです。
どちらに部類されるのか、判断が少し難しいですね。
一般的には、介護タクシーのことをいいます。主に、通院やデイサービスへの送迎です。今回の話ではあまり重要ではないため、省略します。
また、訪問介護の詳しいサービス内容については、以下の過去記事で解説しています。
あわせてお読みください。
現場で働いている方々の中には、
「生活援助が給付から除外されることで、部屋がゴミ屋敷のようになってしまってもよいのか」とか「日常生活を適切に送るための支援として、生活援助は訪問介護のサービスとして必要だ」などといった反対意見を持つ方がいらっしゃいました。
現場で働いている方々からすれば、当然の意見かもしれません。しかし、意外なことに、賛成的な意見も多くみられました。
特に買い物について、ヘルパーは家政婦ではないので、わざわざ買い出しから調理まで行うべきではない、という意見が多くありました。買い物をしてほしい人は、民間の家事代行サービスを利用すればよいのではないか、ということです。
たしかに、要支援だと自立されている方も多く、現代ではネットスーパーや宅配サービスが充実しているため、買い物に介護保険を使うのは妥当ではないような気がします。
また、記事でも述べたように、訪問介護で家事全般が全くできないわけでありません。自立支援のために利用者と一緒に行うことで、一部は身体介護として扱うことができます。
介護ヘルパーが家政婦のような状況になっているのであれば、思い切って線を引くべきでしょう。ただし、専門的な技術を持って行うべきかどうかは、ケアマネの判断になります。
いかがでしたか?
今回は、生活援助の移管について詳しくお伝えしました。政府の発表によれば、2027年に予定されている、介護報酬改定前までに結論を出すとのことです。
もし決定が下されれば、場合によっては身体介護として扱われるケースが増え、以前よりも栄養学の知識を深めたり、調理技術を習得したりと、より専門的なスキルがヘルパーに求められるかもしれません。
逆に、訪問介護サービスの役割が明確に分担されることで、ヘルパーは身体介護を中心とした業務に専念でき、ひとによっては働きやすい環境になるでしょう。
いずれにせよ、介護分野における骨太の方針には注目が必要です。
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