誰かを支えている実感が生きる力に変わる!高齢者にこそ「推し活」がおすすめ
皆さんこんにちは、 大阪介護転職ネット です。皆さんは「推し活」ってご存じですか? かつては熱狂的なアイドルファンが自分のイチオシのことを推しと言っていましたが、今や推しの範囲が広がり、幅広い年齢の人が「推し活」を楽しんでいます。実は、この推し活が、高齢者の心身によい影響を与えることがわかってきました。そこで、今回は、推し活が高齢者の心身にどのような影響を与えるのか、介護職はどのようにかかわったらよいのかを解説します。
高齢者推し活の成功例「Be supporters!(ビーサポーターズ)」
推し活が高齢者の心身によい影響を与えることを実証したプロジェクトがあります。高齢者施設の生活者が、推しのサッカー選手を応援し、サッカー選手と高齢者がお互いを支え合う「Be supporters!」という取り組みです。サントリーウエルネス株式会社とJリーグの複数のクラブが連携し、2020年12月にスタートしました。2023年には、全国約160施設・のべ6,000人が参加するまでに拡大しています。
発起人は、2020年当時、Jリーグの「シャレン!(社会連携活動)」というプロジェクトをプロデュースしていた小国士朗氏。「プロフェッショナル 仕事の流儀」「クローズアップ現代」などの番組を制作していた元NHKのディレクターです。過去には、認知症の人々がホールスタッフとして働く期間限定レストラン「注文をまちがえる料理店」などの福祉系イベントも仕掛けました。サントリーウエルネス株式会社は、それらのイベントを通じて交流があった企業です。
発足当時、呼びかけに対して手を挙げたのは、J1の川崎フロンターレ、ヴィッセル神戸、J2のレノファ山口、J3のカターレ富山の4クラブでした。普段は一方的に支えられる側になってしまう高齢者や認知症の方を、サッカークラブのサポーターとすることで、支える側にすることをコンセプトとしました。しかし、高齢者施設に話を持って行くと、初めは「利用者がサッカークラブのサポーターになるのは無理」という反応ばかり。「高齢者が好むのは相撲か野球」「女性はサッカーなど見向きもしない」という固定概念があったからです。
ところが、試しにユニフォームを着てもらうと、楽しそうな笑顔になる高齢者が続出。徐々に取り入れられていくこととなりました。このプロジェクトの肝は、気軽に楽しく誰でも参加できるようにすることです。試合前・試合当日・試合後それぞれにアクションを設けました。ただし、型通りにしなければならないという決まりはなく、それぞれの施設で自由に応援のスタイルを決められます。ちなみに基本形は以下の通りです。
試合前
それぞれが推し選手を決め、応援グッズを作り、サポーターとしての応援練習をする。
施設内をクラブカラーで装飾する。
応援のためにサポ飯を作って食べる。
試合当日
試合中継を見ながら応援。
試合後
試合を見た感想や思い出を日記に書く。
交流会で選手と触れ合う。
推し活による高齢者の変化は?
「Be supporters!」を取り入れた施設では、次のような変化がみられました。
・主体的に体を動かす高齢者が増えた
リハビリや体操を嫌がっていた高齢者が、「立って応援したい」「スタジアムで応援したい」という気持ちから、自主的に体を動かすようになったという事例が多く見られます。
・食が細かった高齢者がたくさん食べるようになった
サポ飯作りを通じて食事の楽しさを思い出したり、身体を動かす機会が増えることで、食欲を取り戻したりするケースは多いようです。
・周りとのコミュニケーションが活発になった
推しができることで、その推しの良さを周りに伝えたいという気持ちが生まれます。それまであまり話さず、表情も変えなかった高齢者が、にこやかに周りと談笑する姿が多く見られるようになりました。一緒に試合を観て応援するのも、自然なコミュニケーションが生まれやすい環境です。
・外国語の勉強をするようになった
外国人選手を推す高齢者が、自分の気持ちを推しに伝えたいという思いから、イタリア語やスペイン語などの外国語を勉強し始めるケースも見られます。
・要介護度が下がった
表情が乏しかった高齢者がよく笑うようになった、認知症の進行が止まったという事例が多く、結果として要介護度が下がるということも数多く起きているようです。
高齢者にとって、推し活は単なる趣味ではありません。推しに熱中することが活力源となり、社会とのつながりを深めたり、孤独感を軽減したりすることにもつながっています。同じものに興味を持つ人との交流が、刺激や喜び、生きがいとなり、ポジティブな変化となって表現れているのでしょう。
高齢者の推し活を介護職はどう支える?
高齢の推し活は「Be supporters!」だけではありません。他のスポーツの選手やアイドル、歌手、俳優などを推しにする方もいるでしょう。介護職は、それぞれの高齢者が何に関心があるのかを把握したうえで、どのようにしたら支援できるのかを考えます。何でもしてあげるのではなく、どこまで高齢者が自力でできるのか、どこまで手を貸してあげればよいのかを考えながら支えてあげましょう。
いかがでしたが、「Be supporters!」に参加するJリーグのクラブ数も年々増えており、関西では最初から参加しているヴィッセル神戸のほかに、J1のセレッソ大阪も参加しています。関心があるなら、活動に参加している施設を転職先に選ぶというのも1つの方法ですね。自分1人ではそのような施設を見つけられないという場合は、ぜひ 大阪介護転職ネット の経験豊富なキャリアコンサルタントを頼ってください。あなたにぴったりの転職先探しをお手伝いします。