介護施設でも在宅介護でも気を付けたい!誤嚥性肺炎の予防と対処法
皆さんこんにちは、 大阪介護転職ネット です。今回は、震災の避難所等でリスクが高まっている高齢者の誤嚥性肺炎について解説します。
介護施設に入所している高齢者が、病院に入院する原因として最も多いのが誤嚥性肺炎です。日本人の死因の上位を占める肺炎は、9割が高齢者によるもので、中でも誤嚥性肺炎はその約6割を占めます。介護の現場でも予防を意識したい病気なので取り上げることにしました。
誤嚥性肺炎とは?
誤嚥性肺炎はその名の通り、誤嚥が原因で起こる肺炎です。本来なら、飲食物や唾液が入ってきたときは咽頭蓋が膨らみ、気管の入り口に蓋をします。しかし、それがうまくいかずに、気管に入ってしまう状態が誤嚥です。
健康な人でも、気管に食べかすなどが入ったりすることがありますが、その場合はすぐにむせたり咳き込んだりします。実は、肺炎を起こさないようにするためには、この「むせる」「咳き込む」という反応がとても重要です。しかし、嚥下機能や筋力が衰えると、むせたり咳き込んだりする反応が起こりにくくなります。
また、肺炎を引き起こすのは、誤って気管に入った飲食物や食べかすそのものではありません。原因は飲食物や唾液、逆流してきた胃液などに含まれている細菌です。避難所等で誤嚥性肺炎のリスクが高まるというのは、口の中を清潔に保つのが難しいことが関係しています。
誤嚥性肺炎のリスクが高い高齢者の特徴は?
誤嚥性肺炎のリスクが高いのは、嚥下機能が弱っている高齢者です。食事観察をしていて、次のような傾向が見られたら、歯科医師に相談したり、より注意深く見守ったりするようにしましょう。
- 上半身が左右前後に傾いて座位をうまく保てない。
- 顎が上がっている。
- 食事中に寝てしまう。
- 食事に集中できない。
- 食事に時間がかかりすぎて途中で疲れてしまう。
- 常に口が開いていて口腔内が乾燥している。
- 口の中の衛生状態が悪い。
- 咀嚼がうまくできない。
- 上下の歯がうまくかみ合っていない。
- 食べ物や唾液が口元からよくこぼれる。
- 口の中に食べかすがよく残る。
- 一口食べるのに何度も飲み込む動作をする。
- 咳き込んだりむせたりすることが多い。
誤嚥性肺炎の初期症状は?
誤嚥性肺炎を早期発見するために覚えておきたいのが、初期に現れる症状です。主な症状は以下の3つなので、覚えておきましょう。
- 急激に食欲がなくなった
嚥下機能が衰えると、無意識のうちに食事を拒否するような態度が出ます。食事にかかる時間がいつもよりも長い、食べる量がいつもより少ない、口の中にいつまでも食べ物が残っているというときは、食後の様子をしっかり観察しましょう。ひどくむせたり、辛そうな様子が見えたりしたら、体調に変化が起きているかもしれません。
- 風邪を引いたような症状が見られる
軽く咳き込んだり、発熱したりといった風邪の引き初めのような症状が現れます。風邪だと思い込んで放置していると、急激に悪くなることがあるので注意が必要です。肺に雑音があれば、誤嚥性肺炎と診断されます。できるだけ早い段階で治療を始めることが大事なので、もしかしたら誤嚥性肺炎かも、という段階で医師や看護師に相談するのがおすすめです。
- 元気がなくボーッとしている
食事をした後、元気がなくボーッとしているようなら、体調が悪化しているのかもしれません。発熱せず、咳き込むこともないのに、喉がゴロゴロ鳴っていると思ったら誤嚥性肺炎を起こしていたということがあります。
介護の現場でできる誤嚥性肺炎予防
介護職にできる誤嚥性肺炎予防としては下記のようなことが考えられます。
- 誤嚥の起こりにくい食事姿勢になるよう配慮する。
顎が上がると誤嚥を起こしやすくなります。背もたれのある椅子に深く腰掛け、背中をまっすぐ伸ばした状態でやや前かがみになるのが理想です。車いすの場合は、理想的な姿勢に近づくように調節しましょう。
- 嚥下反射をよくするトレーニングをする
口の周りの筋肉や舌を動かす運動をします。
- 就寝時は頭部がやや上がるように角度を付ける。
就寝中、口呼吸をしていると細菌を含んだ唾液を誤嚥しやすくなります。
- 口腔内を清潔に保つ。
口腔内をきれいに保っていれば、唾液を誤嚥しても肺炎は起こりにくくなります。
ちなみに、要介護5の私の父は、ときどき軽度の誤嚥性肺炎を起こします。担当の訪問看護師さんの話では、無糖の炭酸水を活用すると口腔ケアがしやすいということでした。うがいができる状態なら炭酸水でぶくぶくうがいを、寝たきりなら使い捨てのスポンジブラシに含ませて口の中を掃除するのがおすすめとのことです。
いかがでしたか。誤嚥性肺炎は、介護職にとってかなり身近な問題です。介護福祉士試験の問題文の中にも頻出するので、対応できるようにしておきましょう。介護施設で働く場合も、在宅介護の現場で働く場合も、覚えておいて損はありません。より自分の力を活かせる職場を探しているのであれば 大阪介護転職ネット に相談してみてください。経験豊富なキャリアアドバイザーがあなたに寄り添います。