AR(拡張現実)で認知症を体験!物の見え方とユニバーサルデザイン
こんにちは。大阪介護転職ネットです。
現在、日本では約4人に1人が、認知症もしくはその予備軍であるといわれています。
その数の中には、高齢者だけではなく、若年性認知症という40~50代で発症した方も含まれています。決して他人事ではなく、今や、認知症はだれでも起こりうる身近な病気となりました。今後もさらに増え続けることでしょう。
前回の記事では、認知症の方が体験する「時間の感覚」について、とある書籍をご紹介しながらお話しました。まだ見ていない方は、そちらの記事も一緒にご覧ください。
↳ ようこそ認知症の世界へ ~私たちは、なぜ時計がなくても時間がわかるのか~
そして今回は、認知症の方の「物の見え方」について触れ、デザインとの関わりをお伝えしていきたいと思います。
突然ですが、今年の9月。福岡市にて新たなプロジェクトが発表されました。
認知症になっても自分らしく暮らせるまちづくり、通称『認知症フレンドリーシティ・プロジェクト』という事業を数年前に始めて、今年の9月、その拠点となる施設が市内にオープンしたそうです。施設名は、認知症フレンドリーセンターといいます。
ここでは、認知症の方が普段どのような見え方をしているのか、錯覚や奥行き、視野の狭さなどを、AR(拡張現実)で体験できます。
たとえば、階段の上り下りで段差が平らに見える、色のついたタイルが歪んで見える、などといった実体験を、認知症の方の視点から身をもって学べます。ARによって体験することで、症状をより身近に感じ、認知症への理解を深められるでしょう。
また、認知症の方は、排泄をするのも一苦労です。
トイレの便器と床の色が一緒なので、境目がわからず転倒したり、排泄に失敗してしまったり…。このようなケースは、介護施設でもよく起こりうる事例ではないでしょうか。
そこで、福岡市は「認知症の人にもやさしいデザインの手引き」という冊子を出版しました。
これは、認知症の方が日常生活を送るうえで、自分らしく生活できるようにと、さまざまな工夫やデザインのポイントを30個にまとめたものです。では一体、具体的にどのような工夫が必要なのでしょうか。
さきほどのトイレの事例でいうと…
▸便器を目立たせるため壁色は強いコントラストをつける
▸扉と壁を見分けられるように扉の明度を上げる
▸誘導表記は文字だけではなくマークも一緒につける
▸ローカは影や暗い部分を作らないようにする
などなど。
照明やデザイン、コントラストの工夫によって、認知症の方が心地よく生活できる環境を整えています。
冊子で紹介しているデザインを取り入れた施設は、認知症フレンドリーセンターに限らず、博多区役所や公民館、地下鉄といった、さまざまなな場所で導入しています。全部でなんと49施設です。
今回のような認知症を体験する施設や研修は、福岡市にのみならず各地域で行われていることでしょう。もし機会があれば、実際に体験してみてください。周囲ひとり一人の理解を獲得して、認知症とともに生きる環境づくりを目指していきましょう。
なお、冊子は福岡市のHPにて無料でダウンロードできます。気になる方は「福岡市 認知症の人にもやさしいデザイン」で検索してみてくださいね。
また、あなたには「大阪介護転職ネット」という強い味方がついています。選りすぐりの求人を確保するため、全社一丸となって情報収集に努めています。そして、とても優しく頼りになる優秀なキャリアコンサルタントが在籍していますので、わからないことや不安なことなど、なんでもお問い合わせください。あなたを全力で見守り、全力で支えていきます!