ようこそ認知症の世界へ ~私たちは、なぜ時計がなくても時間がわかるのか~
こんにちは。大阪介護転職ネットです。
突然ですが、みなさんは『認知症世界の歩き方』という本をご存じですか?
内容を簡単に説明すると、認知症をもっている方が普段どんなことに困っているのか、どんな気持ちでいるのかというのを、認知症の方の頭の中をのぞくような形で紹介している本です。
どなたでもわかりやすく読めるポイントとして、認知症の方が体験する不思議な出来事やさまざまなトラブルを「旅のスケッチ」という形式で描かれています。
たとえば…
✱ 乗るとだんだん記憶をなくす「ミステリーバス」
✱ 一本道なのになかなか出口にたどり着かない「服ノ袖トンネル」
✱ 時計の針が一定のリズムでは刻まれない「トキシラズ宮殿」
などがあります。
認知症の方が日常生活で起きた実際の出来事を、ひとつの物語にしてる感じす。介護の業界で働いている方であれば、旅のスケッチタイトルを見て、どんな症状なのかなんとなく想像がつきますよね。
おそらく、このような認知症の症状を“知識”として知っている方は多いと思います。しかし、それが実際にどのような感覚なのかを“理解”するのは難しいでしょう。
今回は、時計の針が一定のリズムでは刻まれない「トキシラズ宮殿」について触れながら、なぜそのような現象が起きてしまうのかを詳しく解説し、認知症の理解を深めていきたいと思います。
まず、本の中で描かれているストーリーをご紹介します。
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トキシラズ宮殿
正しい時の流れの感覚を完全に失ってしまう、世にも奇妙な現代版・竜宮城。カップ麵にお湯を注いで、3分だけ待っていたつもりが気づけば夕方に…。麺もすっかり伸びて冷え切っていた。
ほかにも、ほんの数分だけ音楽を聴いていたはずなのに半日も経っていたり、数十年前の出来事が昨日の感じたり……。この宮殿では、時計の針が一定のリズムで刻まれない。
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数分間と半日ではあまりにも違い過ぎて、生活に支障をきたしてしまいますよね。では一体、私たちはなぜ、時計がなくても3分がわかるのでしょうか。
実は、脳の中に「時間細胞」という細胞があり、その時間細胞が時間を図ってくれるので、時間の経過がわかる。という仕組みだそうです。時間細胞とは、さまざまな記憶を保持している海馬の中にある神経細胞群のひとつです。
◆ 3つの神経細胞群 ◆
▸ 時間情報に応答する「時間細胞」⇒ いつ
▸ 空間情報に応答する「場所細胞」⇒ どこで
▸ 出来事情報に応答する「イベント細胞」⇒ なにをした
このように、海馬には、いつ(時間)、どこで(場所)、何をした(出来事)という記憶の3つの要素をそれぞれ担当する細胞があります。その中で、時間を担当するのが時間細胞です。
時間細胞は、時計のようにある一定の時間が経つと反応します。たとえば、10秒ごとに発火する細胞や、1分ごとに発火する細胞などです。
↳ ちなみに時間細胞は、体内時計をつかさどる時計遺伝子とは異なります。
そして海馬にある神経細胞は、認知症の症状が進むにつれて減少し、萎縮します。海馬が萎縮すると、時間細胞を送る信号が弱くなるので、時間の感覚が失われたり、ずれたりします。
昼夜や季節の区別がつかない、同じ話を何度も繰り返す、昔の出来事を現在の出来事と混同する、などといった現象は、時間細胞の異常によって起きているといえるでしょう。
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これらの症状から脱却するには、ONとOFFをうまく切りき変えることです。ぼーっとする時間が長いと、私たちでも時間の経過が早く感じてしまいますよね。
そのきっかけ作りとして、たとえば、洗濯物や清拭を畳んでもらう、簡単な洗い物を手伝ってもらう、といった役割を担う作業をお願いしてみるのはいかがでしょうか。
既に取り組んでいる利用者さんがいれば、サポートを続けてください。ちいさなことでも大丈夫です。その役割の中で楽しみを見つけ、日常生活でできることを少しでも多く増やしていきましょう。
また、あなたには「大阪介護転職ネット」という強い味方がついています。選りすぐりの求人を確保するため、全社一丸となって情報収集に努めています。そして、とても優しく頼りになる優秀なキャリアコンサルタントが在籍していますので、わからないことや不安なことなど、なんでもお問い合わせください。あなたを全力で見守り、全力で支えていきます!