介護する側もされる側も楽になる!ボディメカニクスの知識と取り入れ方

2023.10.02掲載
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お役立ち情報

皆さんこんにちは、 大阪介護転職ネット です。

 

皆さんの中に、腰痛で苦しんでいる人はいませんか。腰を痛めると、全力を発揮できないうえに、パフォーマンスの質も低下します。「腰痛は介護職の職業病だから仕方ない」などと諦めないでください。今回は、腰痛に悩まされている人や腰痛の悪化が不安な人に覚えて欲しいボディメカニクスの話をします。

 

 

ボディメカニクスとは?

ボディメカニクスとは、人間の関節、筋肉、骨などの動きを力学的に応用して、身体にかかる負担を最小限に抑える介護テクニックです。介護には、身体を動かしながら行う移乗介助のような作業と、一定の姿勢を保持して行う食事介助のような作業があります。いずれも、ボディメカニクスを意識せずに行うと、身体に負担がかかりやすい作業です。毎日何度も繰り返し行う作業なので、これらを無理な態勢で行うことが腰痛や関節痛の原因になっています。

 

ボディメカニクスは、このような介護を、最も重力の影響を受けにくく、身体にも負担がかかりにくい頭の位置、胴体の位置、手足の位置を意識しながら行えるようにしたものです。介護する自分自身の身体的負担だけでなく、介護される側の負担も減らせるので、介護のさまざまな場面で感じる精神的ストレスを緩和することにもつながります。

 

 

ボディメカニクスの8原則

ボディメカニクスの基本原則は次に挙げる8つです。8つの原則をよく理解して、介護に活かしましょう。

 

  • 支持基底面積を広く取り姿勢を安定させる

支持基底面積とは、身体と床が接している面積のことです。両足を閉じている時よりも、広く開いているときの方が安定します。単に前後や左右に開くのではなく、対角線上に左右の足を置くことが大事なポイントです。

 

  • 重心の位置を低くする

膝を曲げ、腰を落として重心の位置を低くすると、姿勢が安定します。このとき、お尻を突き出したような格好にならないように注意しましょう。骨盤が後傾した状態では、力がうまく入りません。骨盤を立てたまま重心を低くすると、効率よく力を発揮できます。

 

  • 密着して双方の重心を近づける

介護者と要介護者の身体を密着させ、お互いの重心の位置を近づけましょう。力が伝わりやすくなり、安定感も増すため、小さな力で無理なく相手を動かすことができます。リュックの紐の長さを変えて背負い比べてみると、重心同士が近づくとどうなるか実感できるでしょう。身体に密着するように紐の長さを調節すると、同じ重さが軽く感じられます。

 

  • 要介護者の身体はできるだけ小さくまとめる

同じ重さのなら、大きいものよりも小さいものの方が動かしやすいという点を応用します。要介護者に肘や膝、腰などを曲げてもらいましょう。身体を小さくまとめることで摩擦が減り、力も分散しにくくなります。

 

  • 身体をひねる動きは最小限にする

介護者も要介護者も身体をひねったりねじったりすると腰や関節に負担がかかります。身体をひねる動きは最小限に抑えましょう。身体の向きを変える場合は、足先を移動方向に向け、膝の屈伸を利用して重心を移動させます。

 

  • てこの原理を最大限に活用する

てこの原理とは、小さな力で大きな力を生み出す物理学の原理です。小学校で習ったことを覚えている人も多いのではないでしょうか。支える部分が支点、力を加える部分が力点、加えた力が働く部分が作用点です。身体の一部を支点とし、遠心力を利用して回転させると小さな力で介助できます。

 

  • 重心移動はできるだけ水平方向に

物は持ち上げると重力の影響が大きくなります。移動介助をする際には、重心の高さをできるだけ保って、水平方向にスライド移動させましょう。ベッド上の移動では、スライディングシートやスライディンググローブを使って摩擦を減らすとより楽に移動させられます。

 

  • 大きな筋群を全体的に利用する

腕の力だけで要介護者を動かそうとすると、腰に負担がかかります。腰や脚、背中にある大きな筋肉をすべて同時に使って、一カ所に負担が集中するのを避けましょう。負担を分散させることで、腰痛の発生を防げます。

 

ボディメカニクスの効果を高める2つのポイント

ボディメカニクスを実践する際に、押さえておきたい注意点が2つあります。これらのポイントをきちんと意識して、ボディメカニクスの効果を高めましょう。

 

適切な声掛けをしながら行う

適切な声掛けを行い、これから何をどのような手順で行うのか、要介護者に理解してもらうことが大切です。要介護者の不安を解消しながら、意見や意思を尊重する姿勢を示しましょう。信頼が深まれば、要介護者が無意識で抵抗することも少なくなり、スムーズにボディメカニクスを実践できるようになります。

 

介護される側にも協力してもらう

要介護者にも自分でできることがあるはずです。どこまで自分でできるのかを見極めたうえで、できる範囲のことは自力でやってもらいましょう。そうすることで、要介護者の自尊心を保ちながら、身体の機能の低下も防げます。介護する側の負担も減らせるので、できる範囲で協力してもらうことはどちらにとってもプラスになることです。

 

ボディメカニクスは介護職の腰痛防止に欠かせない基本的な知識であり技術です。今一度、自分の動作はボディメカニクスをきちんと活かせているか確認してみましょう。そのうえで、腰への負担を減らせる職場を探すというのも1つの方法です。転職先を探すなら、 大阪介護転職ネット を上手に活用してください。実績豊富なキャリアアドバイザーがあなたの転職を全力でサポートします。