認知症が治る?介護者の負担を軽減させる新薬「レカネマブ」を徹底解説

2023.09.11掲載
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お役立ち情報

こんにちは大阪介護転職ネットです。

 

今回お話をするのは、アルツハイマー病の新薬「レカネマブ」についてです。

 

現在、日本で600万人以上いる認知症患者のうち、約6割以上がアルツハイマー型認知症と言われています。「レカネマブ」とは、そのアルツハイマー病の治療薬のことで、製薬会社エーザイとアメリカの医薬品大手が共同開発をして作られました。

そして先月。8月21日に、アメリカのFDA(食品医薬品局)が正式認証をしたと発表され、メディアでも話題になりましたよね。介護の業界で働く方々であれば、特に、気になるニュースだったのではないでしょうか。

 

しかし、レカネマブにはいくつかの問題点があるようです。では一体、レカネマブにはどのような作用があるのか対象者は誰なのか価格はいくらなのか、などといった詳しい情報を改めてお伝えしていきたいと思います。(今後、情報が変わる事もあるので、今の時点で分かっている情報を元にご説明します)

その前に、まず認知症について簡単におさらいをしますね。

 

 

◇ 4大認知症 ◇

 認知症の中で、最も代表的な4種類を簡潔にまとめました。

 

✱ 脳血管性認知症

 概要:脳の血管に異常が起こり、脳細胞が破壊されることによって認知機能が低下する病気。
 原因:脳梗塞や脳出血などの脳血管障害によって起こる。
 症状:物忘れ、計算が出来ない、感情のコントロールが出来ない、などの症状を発症。

 

✱ レビー小体型認知症 

 概要:異常なタンパク質の蓄積によるレビー小体が、大脳皮質に溜まる事で、記憶や動作などに障害が現れる病気。
 原因:大脳皮質に、レビー小体が溜まることによって起きる。レビー小体(⇒異常なタンパク質が脳の神経細胞内に蓄積されたもの)
 症状:認知機能障害、幻視、パーキング症候群、睡眠障害などを発症。

 

✱ 前頭側頭型認知症

 概要:脳の一部が委縮をして起きる病気。
 原因:異常なタンパク質が変化をして蓄積され、前頭葉や側頭葉が委縮をして起こる。
 症状:人格や行動、言動などの変化。

 

✱ アルツハイマー型認知症

 概要:脳の神経細胞が通常よりも早く減ってしまう事で、認知機能や判断機能が徐々に低下をしていく病気。
 原因:アミロイドβとタウという異常なタンパク質が蓄積し、脳の神経細胞が障害され減少していく事で起きる。
 症状:記憶障害、見当意識障害、徘徊や妄想などの行動や精神障害を発症。

 

↳ 完全に原因が判明されている訳ではありませんが、今回の「レカネマブ」という新薬は、このアルツハイマー型認知症の原因の一つとされるアミロイドβを取り除き病気の進行を抑制させる効果があると言われています。

具体的にどういうものなのかというと…

 

 

◇ レカネマブの作用と効果 ◇

レカネマブは、有害なタンパク質のアミロイドβに付着をして取り囲み、神経細胞の破壊を防ぎます。さらに、それ以上増えないように神経細胞を守るだけではなく、既に溜まってしまったアミロイドβを取り除く事も出来るそうです。

以前までの認知症の薬は、対症療法という症状を緩和させるもで、原因に直接触れる薬はありませんでした。進行のスピードを遅らせ、原因物質の除法をねらった治療薬の正式承認は、なんと世界初です。

▸対症療法:病気の原因に対してではなく、その時の症状を軽減する為の治療法

▸原因療法:病気の原因そのものを、制御する治療法

 

認知症の軽度患者への臨床試験では、レカネマブを投薬をしなかった方に比べて、認知機能の低下などの症状悪化を27%抑えられることが分かりました。平均では、アルツハイマー病への進行を約3年ほど遅らす事ができるそうです。

ただ、レカネマブを投薬できるまでの過程には、様々な障害があります。

 

 

◇ レカネマブの問題点 ◇

 ₁. 対象者は症状が軽い方のみ

 神経細胞は、一度破壊をしてしまうと元には戻らない為、早期の投薬でないといけません。ですから、対象者は認知症の症状が軽い方のみとなってしまいます。誰でも投与が可能というわけではないようですね。

    軽度認知障害 軽度認知症中度認知症高度認知症

   ( 軽度認知障害や、軽度認知症と判断をされた方にのみ適応 )

 

 ₂. 検査が必要

また、認知症の初期状況を見極めるのは非常に難しいようで、脳内にアミロイドβが沈着をしているかどうか検査をしなければいけません。しかし、アミロイドβの検査ができる病院が全国で33カ所とかなり少なく、 保険適応外であるため、検査費用は約30万円と高額です。

検査では専用の針を使用するので、患者さんのお身体にも負担が掛かってしまうのではないか、という意見もありました。気軽に相談をする、というのはなかなか難しそうです…。

 

 ₃. 費用が高額

レカネマブの価格自体は、一人あたり年間2万6500ドル(日本円で約380万円)での販売予定と言われています。日本でも承認申請をしており、今年中に販売をする方針だそうです。全てを負担するわけではないと思いますが、決して、お求めやすい価格ではないという事は確かです。

「この金額は、製薬会社側からすると妥当だとは思うが、患者さん側金銭面や、薬を大量に使用をすることによって起こる、保険料を払う人の負担も考えなければならない」というような医師の専門的な意見もありました。

 

 

◇ まとめ ◇

 今回ご説明をしたアルツハイマー病新薬のレカネマブは、全ての認知症に適応されるのではなく、アルツハイマー型認知症にだけ効果が期待されています。また、今の段階では、対象者などの条件があり、投薬ができる人は限られています

ですが、今までは不可能に近いと言われていた認知症の進行を遅らせたり、認知機能の低下を抑えたり、原因そのものに直接触れることができる、というのは、世界初の治療薬であり、大きな進歩ではないでしょうか。今後、レカネマブが日本でも販売をされる予定なので、これを機に、一人でも多くの方が投薬をできる環境を目指していけたらいいですね。

 

 そして、患者さんや利用者さんだけではなく、ご家族や私たち介護者の負担も、少し軽減ができるようになれば一番だと思います。新しい職場を視野に入れているという方は、一度「大阪介護転職ネット」を覧になってくださいね。選りすぐりの求人を確保するため、全社一丸となって情報収集に努めています。また、とても優しく頼りになる優秀なキャリアコンサルタントが在籍していますので、わからないことや不安なことなど、なんでもお問い合わせください。あなたを全力でサポートしますよ。