『冗談はほどほどにね!』2024年介護保険制度改正へ向けての財務省のふざけた提言案

2022.06.13掲載
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こんにちは。大阪介護転職ネットです!

 

今回は2年後に予定されている2024年度の介護保険制度改正についてお話したいと思います。

介護業界で働く人たちや仕事に、多大な影響を及ぼすであろう制度改正ですが、現在までに分かっている財務省からの「無慈悲な提言」を、5つのポイントに絞って簡潔に説明したいと思います。今回の記事を最後まで読んでいただければ、2024年度の制度改正がどのようなものかイメージしやすくなると思いますので、皆さんのお役に立てれば幸いです。

 

 

現在、改正に向けた財務省の思惑vs厚労省の思惑、そして現場の声がぶつかり合う時期真っ只中ですね。今からは目が離せない期間が続きます。制度改正の内容が決まってから全部を知るのと、議論されている最中から知っておくのとでは、これからの仕事の仕方、将来への展望が全く変わってくると思います。皆さんの今の行動で将来は変わっていきますし、何年後かのご自身の身の振り方にも大きく影響する可能性があります。2024年の制度改正は、それほど重要な改正になりそうです。

 

介護業界といっても、職種や仕事をする場所によってかかる負荷には当然違いがありますね。自分の働く場所、いるべき場所を真剣に考えるためにも、改正の流れを適時に把握することは、とても大切で有意義なことだと思っています。自分は今のままで良いのだろうか?、次のキャリアに挑戦したり、キャリアチェンジをするタイミングだろうか?など、現在置かれている各々の立場で改正の流れを都度知っていきましょう。今回お話する財務省からの5つの提言の内容が、2024年度介護保険制度のポイントになることは間違いありません。

 

 

今の時期に財務省はなぜ、介護保険給付に関してあれこれと提言してくるのでしょうか。その理由は明白です。「介護保険の財源の適正化を図るべく、年度改正に向けて動く時期」だからです。

現在の日本の超少子高齢化社会において、介護保険に係る給付費が財源を圧迫していることは誰の目から見ても明らかであり、まぎれもない事実です。そのような中、その財源を管理するのが財務省の仕事であり、介護業界の現場の声を聴き、現場を守るのが厚労省の仕事です。

現場を知らない財務省は、どうにか給付費を抑えられないのかと圧力をかけてきます。台所事情を中心に考える財務省の提言に対して、現場の声やデータなどの根拠で対抗しなければならないのが厚労省です。厚労省は現場や高齢者を守る義務があります。ここに財務省対厚労省の熾烈なバトルが勃発します。どちらも決して負けられません。我々としては、厚労省には是非とも頑張ってもらわないとと、全力で応援したいところです。

 

 

財務省は財政健全化への道筋などを話し合う、審議会財政制度等審議会・財政制度分科会を開催しています。そこで提言(無慈悲な)されている内容から、今回は大変重要となるポイントを5つに絞ってご紹介したいと思います。

 

懸念事項1 訪問介護・通所介護の給付カット:要介護1,2を総合事業に

この提言は実現されてしまったら大変なことになると考えます。

財務省の主張は、全国の市町村が「要介護1,2の高齢者に対する訪問介護・通所介護を、総合事業の枠組みに移すべき」というもので、「2024年度の制度改正で具体化するように」、とまで言っています。財源の抑制、年々増え続けている介護費の抑制、40歳以上の保険料の抑制を実現したいというのが目的です。現状の介護保険の総合事業では、市町村が地域の実情に応じて独自にサービスの運営基準や報酬を定めることができます。例えばボランティアを主体にしたり、人員の配置を緩和して単価を下げるといったことも可能とされています。

財務省の言い分は次の通りです。

要介護の高齢者を軽度者と定義して、訪問介護の生活援助をはじめ、多様な人材、多様な資源を活用したサービスの提供を可能にすることが効率的

この言い分は、お金の事しか考えていないとしか言いようがありません。できるだけお金を使わずに、ボランティアや地域の助けを借り、様々な工夫をして人材などを工面し、それらを有効活用して給付を抑制しろと、こちらに丸投げされた印象ですね。都合よくボランティアなどの人材を確保できるのか、どうやって、また誰がそういったシステムを作るのでしょうね。これは現場を何も知らない人の発想だなと思います。

 

懸念事項2 利用者負担を原則2割に

財務省は、介護サービスの利用者負担を原則2割にするように度々言っていますが、今回もまた言ってきました。そして3割負担の基準の見直しも検討をすべきと提言してきています。

現状はどうなっているのか、以下の通りです。

介護サービスの利用者負担は、所得に応じて1割から3割に設定されていますが、現状は全体の9割の利用者さんが1割負担となっています。それを原則2割にして3割負担を増やそうという思惑です。これには、「高齢者の生活が苦しくなる」ということ、「サービスの利用を控える人が増える」のではないかと危惧する声が多いです。現在の1割負担でさえ、利用を控える方も現場では目にします。キーパーソンである利用者さんのご家族が、精神疾患などによって働けなくなってしまった、という方もいらっしゃるからです。原則2割になってしまったら、経済的弱者の虐待問題なども増加するのではないかという懸念もあります。これが実現してしまったら、由々しき事態になりかねないと、容易に想像がつきます。

 

懸念事項3 ケアプランの有料化

現状、ケアプラン作成の仕事をするケアマネジャーの報酬は、すべて公費で賄われています。ケアマネさんに相談したり、ケアプランを作成してもらうことについては、利用者さんの自己負担分はありません。

これに対する財務省の提言は次の通りです。

サービス利用が定着し、他のサービスへ利用者負担があることを踏まえれば、利用者負担を導入することは当然

と主張しています。もちろん強い反発の声が上がっていることは言うまでもありません。

現場からの声としては、

利用者負担を導入すると、利用者・家族の意向をできるだけ反映してほしいという圧力が強まり、かえって給付費の増加を招く

といったものがありますし、

本来ケアマネがやるべきことではない通院支援や、その他、担当するべきなのは家族であっても、その家族が不在で仕方なく代理でその仕事を行っている」というケアマネさんも多いというのに、それらの仕事が通常行う業務に加わり、ケアマネさんたちを大きく圧迫しています。

休日返上で働いているケアマネさんも決して少なくないという中、利用者自己負担が導入されたら、今後ますますケアマネさんへの圧力が強まり、さらに苦しめるのではないかと懸念されます。ケアマネさんが減ってしまう要因のひとつにもなるでしょう。この提言は、到底承服できるものではありません。

 

 

懸念事項4 福祉用具貸与のみのケアプラン費・介護報酬のカット

この提言も給付費の抑制につなげたいという思惑からです。

財務省の見解としては、

福祉用具貸与のみのケースは、ほかと比べて労力が少ない

という認識に基づき提言しています。

これに対する介護現場からの反応は、

ケアプランには、インフォーマルのサービスなども含まれており、モニタリング以外の場面で、細やかな連絡調整も行なっている。福祉用具対応のみだからといって、業務負担が少ないとは言えない。

といったものです。まさにその通りだと思います。

他にも、「歩行補助杖や手すりなどの福祉用具を貸与から販売へ切り替えることで、居宅介護支援費、ケアマネジメント費をカットする」ことなども求めてきています。福祉用具を販売に切り替えると、ケアマネさんの月に1回のモニタリングがなくなりつながりが途絶えてしまうことで、孤立してしまう高齢者が増えるのではないかという問題もあります。

 

懸念事項5 介護業界の小規模法人の大規模化

財務省は、介護業界の小規模法人が多すぎると問題視しており、介護報酬で大規模化を促すよう要請しています。これには開いた口が塞がらないといった経営者さんも多かったのではないでしょうか(( ゚д゚))。

財務省の言い分は次の通りです。

小規模法人が多く、事業者間の競争が必ずしもサービスの質の向上につながっているとも言い切れない上、業務の効率化も不十分と言わざるを得ない

小規模な法人が他との連係を欠いたまま競争するということでは、介護の質の向上にも限界があり、新型コロナのような感染症発生時の業務継続もおぼつかない

と言っており、これらを踏まえたうえで、「経営の大規模化・協働化を抜本的に推進すべき」だそうです。

・・・現場を全く知らない、知ろうともしない連中の、非現実的な提言。どうやれば良いのでしょう? 何か良いアイデアがあるのでしょうか。是非とも教えていただきたいものです。

 

 

2024年度制度改正に向けては、今回ご紹介した5つが大きなポイントになると思います。政府は今年の年末に、大方の方針を決定するとしています。今後はタイムリーに議論の内容を記事にしていきたいと思いますので、定期的にチェックしてみてくださいね。

読んでいただき、ありがとうございました。それではまた!

 

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