《2022年》第34回(令和3年度)介護福祉士国家試験対策~過去問題解説⑥~

2021.11.15掲載
  • Facebook
  • Twitter
  • Line
お役立ち情報

 こんにちは。大阪介護転職ネットです!

 来年の1月に第34回(令和3年度)介護福祉士国家試験の筆記試験が予定されています。出題傾向の高い過去問題を取り上げ解説してみましたので、隙間時間を利用して繰り返し読んでいただき、皆さんの試験対策に少しでもお役に立てれば幸いです。すでに資格を持っている方は、これを機会にぜひ復習をしてみてはいかがでしょうか。

 

参考サイト:社会福祉振興・試験センター
http://www.sssc.or.jp/kaigo/tetsuzuki.html

 

 

今回の過去問題は、第1回から第5回に引き続き、「人間関係とコミュニケーション」の内容から、より具体的な「コミュニケーション技術」について取り上げました。

利用者の状況・状態に応じたコミュニケーションの技法の中から、過去問題を3問解説していますので、試験までに語句の意味や技法の種類、考え方などについて理解をしておきましょう。

 

《過去問題&答え&解説》

【問題1 視覚障害のある人とのコミュニケーション】

Ⅿさん(72歳女性)は、介護老人保健施設に入所している。糖尿病性網膜症(diabetic retinopathy)で、3カ月前に右目を失明した。左目はかすかに見える状態である。視覚機能、言語機能、認知機能に問題はない。Ⅿさんへの介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1Ⅿさんの右側から話しかける。

2Ⅿさんの身体に触れてから挨拶をする。

3物音を立てないように関わる。

4「あそこ」「これ」と代名詞で説明する。

5視覚情報を整理して口頭で伝える。


答え:5 視覚情報を整理して口頭で伝える。
解説:Ⅿさんは、聴覚機能、言語機能、認知機能に問題がないため、視覚情報を整理して口頭で伝える事が適切な対応です。


×
1Ⅿさんの右側から話しかける。
解説:Ⅿさんは右目を失明しており、左目はかすかに見える状態にあるので、左側から話しかけるのが適切です。


×
2Ⅿさんの身体に触れてから挨拶をする。
解説:Ⅿさんの聴覚機能には問題がないため、声をかけて挨拶をするのが適切です。


×
3物音を立てないように関わる。
解説:聴覚を通じて周りの情報を得ることができるⅯさんに対して、物音を立てずに関わることは、対応としては不適切です。


×
4「あそこ」「これ」と代名詞で説明する。
解説:「あそこ」「これ」などの代名詞や指示語では、何について説明をしているのかが分かりづらいため、具合的に説明をするのが適切です。

 

ワンポイントチェック!
視覚障害のある人の「聴覚」を活用するツールに、文書を音声化する機器である「音声読み上げソフト」や「ポータブルレコーダー」があります。

 

【問題2 聴覚障害のある人とのコミュニケーション】

中程度の老人性難聴(presbycusis)のある人とのコミュニケーションに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1補聴器には短時間で慣れると説明する。

2認知症(dementia)がある場合は、補聴器の使用を避ける。

3話し手の口元に注目するように促す。

4耳元で、できるだけ大きな声で話す。

5後ろから近づいて、静かに話しかける。


答え:3 話し手の口元に注目するように促す。
解説:話し手の口の形や動きを手掛かりにして、話の内容を読み取る方法を読話と言います。老人性難聴のある人でも可能なコミュニケーションの方法です。話の内容が正しく理解されているか、その都度確認していくことが大切です。

×1補聴器には短時間で慣れると説明する。
解説:中程度や高度など、症状が進行した「老人性難聴」では、補聴器の効果が限られ、音を大きく拾える代わりに雑音も大きくなることがあります。最近はデジタル化が進み、性能も良くなっていますが、慣れる迄には時間を要します。


×
2認知症(dementia)がある場合は、補聴器の使用を避ける。
解説:老人性難聴のある人は、言葉の聞き取りが難しいことから会話を避けるようになったり、人との関わりが少なくなったりします。認知症を伴う場合でも、補聴器を使用することでコミュニケーションがとれ、会話を楽しむことで症状の進行がやわらぐ可能性があります。


×
4耳元で、できるだけ大きな声で話す。
解説:耳元ではなく、正面を向いて「ゆっくり、はっきり、簡潔に」話すことが適切です。


×
5後ろから近づいて、静かに話しかける。
解説:中程度の老人性難聴の人には、正面から顔を合わせ、肩をたたくなどの合図をして「あなたと話します」という姿勢をとり、表情や口元が見えるように話しかけるのが適切です。

 

 

【問題3 運動性失語症のある人とのコミュニケーション】

Kさん(75歳女性)は、脳梗塞(cerebral infarction)を発症して1ヶ月間入院した後、介護老人保健施設に入所した。Kさんは重度の運動性失語症(motor aphasia)のため、自分から話すことはなかった。入所して2ヶ月ほど過ぎたころ、Kさんは少しずつ言葉が話せるようになった。ある日の午後2時ごろ、介護福祉職に向かって「お茶、いや、違う、お、お、違う、ええと」と話し始めたが、伝えたい言葉が見つからないようで、もどかしそうであった。この時のKさんへの介護福祉職の言葉かけとして、最も適切なものを1つ選びなさい。

1「何を言いたいのでしょうか」

2「もう一回繰り返してください」

3「おやつの時間まで待ってください」

4「何か飲みたいのですね。お水ですか?」

5「言葉が出てきて良かったですね」


答え:4「何か飲みたいのですね。お水ですか?」
解説:運動性失語症とは、「話すことは難しいが、他人の話を聞き理解することはできる」状態です。Kさんの言いたいことを汲み取って声かけをします。「お水ですか」と「閉じられた質問」をすると、「はい」または「いいえ」と答えやすくなるので、適切な対応と言えます。


×1「何を言いたいのでしょうか」
解説:話すことが難しいKさんにとって、プレッシャーとなりますので不適切な対応です。


×2「もう一回繰り返してください」
解説:話すことが難しいKさんにとって、プレッシャーとなりますので不適切な対応です。


×3「おやつの時間まで待ってください」
解説:Kさんの訴えを聞いて、その内容に応えることが適切な対応です。訴えていることを理解してあげるように努めることが適切です。


×5「言葉が出てきて良かったですね」
解説:「言葉が出てきたこと」は、Kさんの訴えではないので、適切な対応とは言えません。Kさんが何を望んでいるのかを汲み取って対応しましょう。


豆知識
運動性失語症の人とは、絵や写真など視覚的な情報を活用してコミュニケーションを図るのも有効な手段です。

ポイントチェック!

「失語症」とは、言語中枢が障害されることで、「聞く・話す・読む・書く・計算するといったことがスムーズにできなくなること」です。主に次の2つのタイプに分類されます。

 

 

 

 

。・*。・*。・*。・*。・*。・*。・*。・*。・*。・*。・*。・*。・*。・*。・*。・*。・*。・*。・*。・*。・*。・*。・*。・*。・*。・*。・

介護福祉士国家試験に限らず、有効な試験勉強として、何度も繰り返し読むということが挙げられます。また、反復しながら読んでいくと、読んだことが脳細胞に刻み込まれて、より記憶が定着しやすいそうです。

例えば、今日、対策①、②、③を読んだら、明日は、②、③、④を読む、その翌日は、③、④、⑤、その次の日は、④、⑤、⑥、その次の日は・・・という風に、読み進めていくと、いつの間にか覚えているそうです。

受験生の皆さんも、何度も繰り返し読んで覚えてみてくださいね。すでに資格を持っている方は、復習の意味で活用していただければ幸いです。大阪介護転職ネットは、皆さんを全力で応援します!

LINEお友達追加