妖怪?UMA?『アデュカヌマブ』っていったいなに??

2021.09.06掲載
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6月のニュースでご存じの方も多いと思いますが、日本の製薬会社エーザイが、アメリカの製薬会社バイオジェンと共同で開発した新薬「ADUHELM™アデュカヌマブ」について、FDA(米国食品医薬品局)は、アルツハイマー病(AD)の原因と考えられる脳内の異常なたんぱく質、アミロイドβプラークを減少させる効果を示したことを受け、認知症治療薬として迅速承認したと発表しました。

参照URL
https://www.eisai.co.jp/news/2021/news202141.html
https://www.biogen.com/en_us/home.html

 

「ニュースの詳細」

日本のエーザイとアメリカのバイオジェンが開発したアルツハイマー病(AD)の新薬、「ADUHELM™アデュカヌマブ」は、症状の進行を抑えることを目的とし、脳内にたまったアミロイドβプラークと呼ばれる異常なたんぱく質を取り除き、神経細胞の破壊を防ぐ効果があるとされる新薬です。

これについてFDA(米国食品医薬品局)は、6月7日の臨床試験の結果、被験者の患者のアミロイドβプラークの減少が確認され、症状への効果が合理的に予測されると評価し、治療薬として迅速承認したと発表しました。

FDAによると、ADの新薬が承認されたのは、2003年以来18年ぶりで、アミロイドβプラークに作用する治療薬の承認は初めてということです。

今回の承認は、深刻な症状の患者に対し、早期に治療を提供するための迅速承認という仕組みで行われたため、FDAは追加の臨床試験で検証する必要があるとしています。追加の臨床試験で効果が認められない場合には、承認が取り消される可能性があるようです。

この薬については、2020年11月にFDAの専門委員会が承認に否定的な結論を出していて、追加のデータを求め審査期間を延長していました。

6月7日の会見でFDAは、専門委員会の意見を慎重に検討し、データを詳細に検証した結果、迅速承認すべきだという結論に達したとしています。

 

 

「アルツハイマー病(AD)とは?そして、新薬とは?」

アルツハイマー病(AD)とは、異常なたんぱく質アミロイドβプラークが、脳内に溜まって神経細胞を破壊することが原因と考えられている認知機能を低下させる病気です。

新薬「ADUHELM™アデュカヌマブ」は、この異常なたんぱく質アミロイドβプラークを取り除き、神経細胞が破壊されるのを防ぐことで、ADの進行を抑える効果があると期待されています。

これまでに承認されたADの治療薬は、残った神経細胞を活性化させるなどして、症状の悪化を数年程度遅らせるものでした。病気による脳の神経細胞が破壊されていくこと自体を止めることはできませんでしたので、製薬会社は病気の進行自体を遅らせる、根本的な治療薬の開発が急務でした。

アミロイドβプラークを取り除く薬は、以前から研究されていましたが、この物質は、患者がADを発症する十数年前からゆっくりと脳内に溜まっていくことや、薬の有効性を確認するのが難しいことなどから、思うように開発が進まない状況が続いていました。

こうした状況の中で、アデュカヌマブは、アミロイドβプラークを取り除く効果が認められ、ADの進行そのものを抑える効果が期待される初めての薬となります。

一方でアミロイドβプラークを取り除くことができても、一度壊れてしまった脳の神経細胞を元に戻すことが難しいことから、治療はできるだけ早い段階で始めていく必要があるとされており、この薬は認知症を発症する手前の軽度認知障害(MCI)の人や、ADのごく初期の段階の人を対象にして臨床試験が行われていました。

アデュカヌマブは、日本でも2020年12月に厚生労働省に承認の申請が出されていて、今後の審査の行方が注目されています。

 

「患者や家族の支援を行う団体の期待」

アメリカで、ADの患者やその家族の支援を行うアルツハイマー協会のジョアン・バイク博士は、アデュカヌマブの承認は、ADの治療にとって歴史的なことだと述べた上で、この薬によって患者と家族や介護者が、治療のあり方や何をして過ごしたらよいかを考える時間が与えられたと信じている、と述べました。

また、ADという病気に人々の関心が高まり、多くの人が早期の診断を受けることで、人生や治療について話し合いを持つ機会をもたらすだろう、と延べ、承認をきっかけにADに対する人々の意識が高まることへの期待を示しました。

参照URL
https://www.alz.org/alzheimers-dementia/treatments/aducanumab

 

「薬の価格はコストに見合うか」

アメリカの製薬会社バイオジェンで、アデュカヌマブの開発を主導してきたアルフレッド・サンドロック博士は、FDAの承認について、ADは家族を認識できなくなったり、自立した生活が送れなるなど、患者と社会にとって影響の大きい病気で、この薬の価値はコストに見合うと考えていると、承認の意義について述べました。また、これまでの臨床試験で、患者の認知機能への効果を示す結果が示されていると述べた上で、追加の臨床試験が行われることについては、「FDAなどと議論をしている、臨床試験の詳しい内容については今後明らかにする」と語りました。

 

「株価への影響」

アメリカでの認知症新薬承認は、株価にも影響をあたえました。

6月8日の東京株式市場では、エーザイの株式に買い注文が殺到し、一日の値上がり幅の上限となる、ストップ高の水準まで値上がりして取引を終えました。この日の市場では、エーザイの株式に買い注文が殺到し、売り注文が少なかったことから売買が成立せず、午前の取引は値がつきませんでした。その後、取引時間の終了と同時に、一日の値上がりの上限であるストップ高で取引を終え、エーザイの株価は7日の終値より1,500円高い、9,251円の値をつけました。

市場関係者は、「新薬がアルツハイマーの治療薬として効果を上げていけば、会社の収益力が大きく高まるという投資家の期待が先行した」と話しています。

 

「治験の結果は?」

ADを根本的に治療する新薬の研究開発は盛んにされてきましたが、候補となる薬ができても有効性の評価が非常に難しいことなどから、実用化に至ったことがありませんでした。今回FDAが承認したアデュカヌマブも申請に至るまでにいくつもの壁があったようです。

アデュカヌマブは、薬の効果や安全性を確認するための最終段階の治験として、ふたつの臨床試験が行われ、それぞれ認知症の前段階とされるMCIやADのごく初期の人など、約1,600人が参加しました。

治験では、少量のアデュカヌマブを投与するグループと、多量を投与するグループ、そして、アデュカヌマブが全く含まれていない偽薬を投与するグループの3つのグループに分け、月に1回、1年半に渡り投与して認知機能の変化などを調べました。その後中間解析が行われましたが、結果は有効性があると確認するのは難しいというものでした。これを受けて治験は中止になりましたが、製薬会社によると、最終的な試験を終えた人たちのデータを加えた上で、詳細な解析をしたところ、ふたつの試験のうち、1つの試験で認知機能の低下が22%抑制された、という結果が出たということです。また、脳内にたまったアミロイドβプラークが、59%から71%減少したことが確認されました。製薬会社によりますと、治験では途中で計画が一部変更され、多量を投与する人数が増えたため、効果の確認に繋がったとしています。

 

「日本認知症学会理事長の見解」

日本認知症学会理事長である東京大学の岩坪教授は、根本治療に繋がる第一歩としたうえで、「今回の新薬で、認知症になったばかりの状態から先の進行スピードを抑えることが可能になる」という可能性があると語っています。中等症や重症の認知症に至るまでの時間を長く稼ぐことができ、より質の高い生活を送ることが可能になると期待されています。

ただ、現時点では国内承認の予想がつかないとしています。

また、バイオジェン社が予測している薬の価格が、月1回の投与で、年間5万6,000ドル、日本円で約600万円以上になるとしており、この高額な薬価をどうやって負担していくのか、世界各国でも大きな問題になると話しています。

参照URL
https://www.nikkansports.com/general/nikkan/news/202107110000387.html

 

「まとめ」

認知症患者、その家族、そして介護職や社会にとって期待の新薬、「ADUHELM™アデュカヌマブ」。

まだまだ越えなければならない様々な壁がある薬ですが、私たちは、将来に希望をもって生きていけると確信できたニュースでした。これからも新しい情報を期待しながら、未来は明るいのだと信じて過ごしていきましょう!