自分はもらえる?知らない人が意外と多い「処遇改善加算」を再確認しよう!

2021.08.16掲載
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介護職に就いている皆さんは、「介護職員処遇改善加算(以下、処遇改善加算と表記を知っている人がほとんどだと思います。

しかし、国は、処遇改善加算の「支給方法」や、「いつ、いくら、誰に」支給するのか、ということを、事業所の判断に任せているため、職員の中には、支給されているのか、いないのかや、対象になっているかどうかも分からない、という人が意外と多いという話を聞きました。

この処遇改善加算というお金は、事業所のためのものではなく、介護職に携わる皆さんのためのものなので、今までよく分かっていなかったという人は、これを機に理解を深め、自分は支給対象なのか、対象だとしたら、どのような形で、いくら支給されているのかを確かめてみましょう。

「処遇改善加算」とは?目的とは?

「処遇改善加算」は、介護職員の給料を上げることを目的に創設された制度です。

この制度の創設以前、現在と同様、介護職員の人材確保が課題だった時期、国は介護報酬(介護の売上)を上げて、介護職員の処遇を改善しよう(給料を上げよう)という取り組みをしました。

しかし、実際どうだったかというと、介護報酬を上げても、職員には届いておらず、給料が上がらなかったという結果になりました。

理由のひとつに、事業所の経営者がそのお金を職員の給料以外に使ってしまったということが挙げられます。莫大な資金を投入し、職員の処遇を改善しようとしたにもかかわらず、うまく機能しなかったわけです。

そこで考えられたのが、「処遇改善加算」の制度です。「経営者を介さず、介護職員へ直接、支払われる金額を明確にして、支給しましょうという目的で創設されました。

この制度が始まってからは、介護報酬は据え置きか、それ以下なのに対し、処遇改善加算は少しずつ増額されています。

「処遇改善加算」の対象は?

・「介護職に従事する介護職員」が対象となっています。ほぼ全ての介護職員ということになります。※①※②

・管理者、ケアマネジャー、看護師、事務員などは対象外ですが、業務で介護を兼務している場合は対象となります。※①※②

・処遇改善加算の対象に、雇用形態や資格の有り無しは関係ありません。よって、パート職員や契約社員、派遣社員でも加算の対象になります。

・扶養内で働いているパート職員も、もちろん対象ですが、加算によって扶養範囲を超えてしまわないよう、事業所に確認しましょう。

・経営者の考えで、支給額や被支給者が決定されますので、対象に当てはまっていても支給されない場合があります。

チェックすべきところ

・「処遇改善加算」の分配方法は、就業規則、給与等級表などに必ず記載されていますので、職員の皆さんは、これらに一度は目を通しておきましょう。

・経営者は「処遇改善加算について、職員へ周知しなければならない」という義務があります。「聞いたことあったかな?」という人は、管理者などに確認しましょう。

・毎月の給与明細ですが、処遇改善加算の項目は別立てして記載されているはずです。基本給や夜勤手当などの手当に含めてはいけないことになっていますので、こちらもきちんと確認しましょう。

・「年1回昇給がある」という事業所の場合、「昇給分は処遇改善加算手当とする」ことが可能となっていますので、こちらも要チェックです。

自分の職場は「処遇改善加算」を取得している?

・処遇改善加算を取得していない事業所もあります。処遇改善加算ⅠからⅤ、すべての取得申請をしていない事業所です。※①※②

・取得しない理由として、申請すると利用者から処遇改善加算を一割負担してもらうことになりますので、利用者負担が多くなるということや、申請の手続きや書類の準備が煩雑であることがネックになっていることが挙げられます。

・「処遇改善加算を申請していないけれど、毎年ベースアップをしています」、というような内容を明示している事業所もありますので、確認しましょう。

・現在、全国の約90%の事業所が処遇改善加算を取得しています。

働くのならどちらの事業所?

働くとしたら、処遇改善加算を取得している事業所が良いと思います。

・理由1:キャリアパス制度が整備されている(処遇改善加算Ⅰ※②を取得している)
勤続○年目でベースアップ、○○の資格を取得したらベースアップ、役職がついたらベースアップなどが明確ですので、基本給がアップするタイミングを把握しやすいという利点があります。

・理由2:その事業所の経理や書類整備が、的確に行われているという証明になる
煩雑な書類整備や、処遇改善加算額や給与の計算などが、きちんとされている事業所である、と考えて良いと思います。

・理由3:処遇改善加算の総額が分かるので、支給金額を把握することができる
ケアマネジャーから事業所に交付される提供票の裏に、利用者ひとりひとりの処遇改善の金額が記載されています。それを元に、ひと月分の金額の総額を職員数で割ると、ひと月に分配されるべき、おおよその金額が分かります。

 

特定処遇改善加算との違い

「特定処遇改善加算」は、勤続10年以上(あくまで目安)の介護福祉士に対して「月8万円相当の処遇改善を実施する」という目的で、2019年10月に創設された制度です。

・処遇改善加算=全職員が対象

・特定処遇改善加算=経験が豊富で技能のある職員が対象

・特定処遇改善加算は、処遇改善加算にプラスする形で支給されます。

 

事業所は自治体に支給実績報告義務がある

事業所が「処遇改善加算」として取得したお金を、職員に支給せず、別の目的に使うことは許されません。違法行為にあたります。そういった不正を防ぐために自治体は、「介護職員処遇改善実績報告書(職員に賃金として還元したという実績の報告書)」の提出を事業所に義務付けています。報告しないと、お金の返還を求められ、処遇改善加算が取り消されます。

まとめとして

今回、筆者の知り合いの介護職員さん数名から、以下の話を聞いたことが、このテーマを書くきっかけになりました。

「自分の職場では、処遇改善加算手当がスタッフに全く支給されていないことがわかった」
「いつの間にか基本給を最低賃金以下にされてしまい、処遇改善加算と資格手当で、最低賃金の埋め合わせをする形になっていた」
(現在はどちらも改善されているそうです)

・・・そのような事業所はほんの一部だと信じたいですし、やむにやまれぬ事情があってのことかもしれません。
皆さんには改めてこの制度を確認していただきたいと思います。


繰り返しになりますが、「処遇改善加算」は、介護職に携わる職員皆さんのためのお金であり制度です。

この制度の導入以降、介護職の給与や職場の環境は大きく改善され、人材確保や離職率の低下など、良い結果が出ていることは確かです。

介護職の処遇改善は、今後もっと広く綿密に行われていくことが期待できますので、今から介護職を目指す方、転職を希望している方などは、「大阪介護転職ネット」で求人をチェックしてみましょう。ピッタリの職場がきっと見つかります。

※① 参照:別添★◎新設 介護職員処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について (mhlw.go.jp)

※② 参照:厚生労働省「介護職員処遇改善加算のご案内」