どこまでいいの?介護職が『やってもよい医療行為』と『やってはいけない医療行為』とは?
こんにちは!大阪介護転職ネットです!
今回は「介護職がやってはいけない医療行為」について解説したいと思います。
介護職の皆さんを取材していて気づいたのですが、医療行為に関して口にされる介護職の方が意外と多いということでした。皆さんは医療行為に関して気になっていることはありませんか?
今回、筆者の古くからの友人の、看護師Nさんからお聞きした医療行為についての内容をまとめてご紹介します。
今回の内容
★医療行為に関する介護職の声
★医療行為とは
★介護職がやってしまいがちな医療行為とは
★やってはダメな医療行為をやってしまったら?
★介護職がやってもよい医療行為
★まとめ
★医療行為に関する介護職の声をご紹介していきます。
特養勤務30代女性
「人手が足りないので、全ての医療行為をやっています。上司に言っても取り合ってもらえないです。もし何かあったとしても、私たち介護職員の責任にされるのではないかと心配です。そこをしつこく食い下がってまでその職場にいるということはしないと思います。」
特養勤務50代女性
「私の職場では、当然のように医療行為を介護職員たちがやっています。行政に報告しようかとも考えたことはあります。」
グループホーム勤務40代男性
「医療関係者の方が介護職員に行わせてはいけない医療行為について、全然わかっていない。自分の施設の場合、現実問題対応してしまっている。」
取材した結果多かった声が、「現状どうしようもなくて医療行為をやっている」「医療行為に関する知識をきちんと身につけ、やれることはやるけれど、やれないことはやらない。これが当然あるべき姿」というものでした。
★医療行為とは何を指すのでしょうか。
「医療行為とは、人間の傷病の治療・診断または予防のため、医学に基づいて行われる行為である」とあります。
参照URL:
医療行為 – Wikipedia
医療行為は、もともと医師や看護師など、医療従事者のみが行うことができるものでした。
しかし、高齢者などが相手の介護の現場では、医療行為が必要になる場面が多くあります。
ここ最近、高齢者や介護を必要とする人の増加が著しく、医療行為を伴うケアのニーズもそれに比例して増加しており、介護職が医療行為を行うことが求められる場面も増加する傾向にあります。
こういった背景をもとに、平成17年(2005年)に基準が定められ、介護職が行っても良い医療行為の明確化がなされました。
しかし、この後も基準が更新されており、その基準を的確に理解している人が少ないようです。
★次に、介護職の方が「やってしまいがちな医療行為」をご紹介します。
①摘便
「摘便」は、排泄介助の一環と考えている人が多く、つい行ってしまうことが多いようです。
便秘で困っている利用者さんがいる、ということは比較的多くあるようです。利用者さんから苦しいから摘便してほしいと言われたり、また、苦しそうな様子を見たご家族などから要望されることもあるでしょう。
しかし、「摘便」は介護職がやってはいけない行為です。
摘便の方法は、肛門から指を入れて便を掻き出す行為です。誤って肛門や直腸を傷付けたり、穴を空けてしまう恐れがあります。素人が安易に行ってはいけない行為です。現場の看護師などにお願いしましょう。
②褥瘡の処置
「褥瘡」は平たく言えば「床ずれ」です。この褥瘡の処置も介護職が行えない医療行為になります。
褥瘡に湿布を貼ったり、小さな傷の処置をしたり、簡単なガーゼの交換が認められているため、やっても良いと思っている介護職の方も多いと聞きます。
介護職の方は、おむつ交換や入浴介助のとき、褥瘡を見つけたり、処置をしている部分を目にする機会が多いと思います。そのタイミングで処置をしてしまうことがあるかもしれません。褥瘡の周りを洗ったり、ワセリンなどを塗ることは可能ですが、褥瘡部に消毒薬などの薬を塗布する行為は医療行為にあたります。
どこからどこまでOKなの?と、線引きが難しいところですね。「褥瘡の処置はしない」としっかりと覚えておきましょう。
★本来やれない医療行為をやってしまった場合
医療行為をやってしまったらどうなるのでしょうか。
法律違反となります。また適切な処置を行われなかったとして、利用者さんのご家族から訴えられる、なども十分考えられます。
医療行為は命に関わる行為です。知らなかったでは済まされません。行ってしまった場合、行った本人だけではなく、勤務する施設のみならず、介護業界全体の信用失墜にもなりかねません。しっかりと確認、理解をしていくことが大切になります。
★介護職ができる「医療行為」は3つに分けることができます。
① 無条件に行えるもの
② ある条件が満たされていれば行えるもの
③ 資格がある、または、研修を受ければ行えるもの
それぞれ解説します。
①無条件に行えるもの
・体温、血圧、酸素濃度の測定
・軽微な傷、やけどの処置
・ガーゼ交換
・耳垢除去
・ストーマ装具パウチ内の排泄物の処理
・自己導尿補助のためのカテーテルの準備や体位の保持
・市販浣腸器を用いての浣腸
・爪切り、爪やすり
※上記①の医療行為で注意が必要なものについて
・血圧の測定は、自動の血圧計を用いた測定のみ可能です。現在ではあまり見かけませんが、水銀の血圧計を使用することは、医療行為の中に含まれるので禁止されています。酸素濃度の測定は、パルスオキシメーターを使用する場合可能です。
・軽微な傷、やけどの処置
・ガーゼの交換 ※褥瘡部分の処置は禁止ですので注意しましょう。
・ストーマ装具パウチ内の排泄物の処理ですが、パウチに溜まった排泄物の処理は合併症がなく安定をしている場合はストーマ装具の交換も可能となっています。
・爪切りは、異常がない爪に対して行うことができます。巻き爪などがある場合は医師や看護師に相談をしましょう。
②ある条件が満たされていれば行えるもの
その条件とは、
・利用者の容態が安定をしている
・医薬品の使用方法に専門的な配慮が必要ない
・上記2つを医師看護師が確認をしている
・事前に本人、または家族から依頼を受けている
・あらかじめ利用者ごとに区分された医薬品を医師看護師の指導の下で使用する
これらの条件を満たしていれば行えるものです。
具体的には、
・軟膏の塗布
・シップの貼付
・点眼薬の点眼
・服薬の介助
・座薬の挿入
・点鼻薬の使用
※注意点:何度も繰り返しますが、「軟膏の塗布は褥瘡にはしない」ことです。また、服薬介助はOKですが、服薬の管理はNGです。
服薬介助とは、薬をいつ飲むかなど決まっている薬の服薬を手助けすることです。
服薬の管理は、薬の指導や調整、在庫管理などをする行為であり、医療行為になります。
③ 資格がある、または、研修を受ければ行えるもの
・痰の吸引
・経管栄養
上記2つになります。
喀痰吸引の研修を受けて、都道府県から「認定特定行為業務従事者認定証」の交付を受けることがひとつと、勤務する事業所が「登録特定行為事業者」の登録を行っていることが必要になります。
こういった医療行為ができる介護職を求人募集している施設もたくさんありますので、興味のある方は研修に参加してみてはいかがでしょうか。
★まとめ
今回は「介護職がやってはいけない医療行為について」筆者の古くからの友人である、看護師のNさんにお聞きし、ご紹介いたしました。
紛らわしいところが多く、勘違いしてついやってしまうことが多そうですね。もっとわかりやすいマニュアルなどの整備が必要だと思いましたが、皆さんはどのように感じたでしょうか。
最後までお読みいただきありがとうございました。それではまた!
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