介護現場での生産性ってなに?2024年より「生産性向上委員会」の設置が義務化!

2024.09.02掲載
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お知らせ

 

こんにちは。大阪介護転職ネットです。

 

近年、介護業界では深刻な人手不足が問題視されていることをご存じでしょう。それに伴い、介護ロボットなどのIT化による業務効率化が期待されています。
 
これらの問題を解決するため、2024年度の介護報酬改定では「生産性向上委員会」の設置が義務化されました。
 
もしかしたら、義務化についてまだ知らない方もいらっしゃるかもしれません。
 
 
そもそも、生産性向上委員会とはどのような活動をする場所なのでしょうか?
 
今回は、介護分野における生産性について、義務化に至った経緯や目的、具体的な取り組み内容について簡単にご説明します。
 
ぜひ最後までお読みください。

 
 
 

「生産性向上委員会」とは

生産性向上委員会とは、介護現場で生産性を向上させるために設置される委員会です。

設置の対象となる施設は、特養や老健、デイサービスなどの介護施設です。

しかし、現状としては、およそ2割程度しか設置されていません。

義務化が決定されてからまだ日が浅いため、生産性向上委員会の設置をしている施設で働く職員でも、設置の事実は把握しているが、実際に誰が担当しているのか、具体的に何をするのかは共有されていない、という方もいらっしゃるそうです。

 対象施設 
・短期入所生活介護
・短期入所療養介護
・特定施設入居者生活介護
・認知症対応型共同生活介護
・小規模多機能型居宅介護
・複合型サービス(看護小規模多機能型居宅介護)
・地域密着型特定施設入居者生活介護
・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
・介護老人福祉施設
・介護老人保健施設
・介護医療院

 
 

介護業界における「生産性」の定義

介護業界における生産性向上は「介護の価値を高めること」と定義されています。
 
生産性という言葉が引っ掛かりますが、簡単にいうと、介護の価値を高めるための業務改善や職場改善を意味します。生産性というより、効率性に近いものでしょう。
 
具体的にいうと、限られた資源を有効活用し、業務の効率化を進めることで、利用者に対する介護サービスの価値や質を高めることを指します。
 
また、介護の価値を高めるには「人材育成」「チームケアの質の向上」「情報共有の効率化」が重要です。
 
 
【 業務改善の視点 】
日常業務のムリ・ムダ・ムラを解消し、質の向上と量的な効率化を目指し、職員が働きやすい環境を整えること。
 
【 職場環境の改善 】
仕事の偏りを是正し、職員間のコミュニケーションを豊かにすることで、明るく楽しい職場作りを目指します。
 
 
 
 

具体的な取り組み内容

大きな目標として挙げられるのは、「人材育成」「チームケアの質の向上」「情報共有の効率化」の三つです。では、具体的な取り組みをもっと詳しく見ていきましょう。
 
 
 業務改善に向けた取り組み 
1.  職場環境の整備
2.  業務の明確化と役割分担
3.  手順書の作成
4.  記録・報告様式の工夫
5.  情報共有の工夫
6.  OJTの仕組みづくり
7.  理念・行動指針の徹底

 

 職場環境の整備
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【 設備の改善 】
介護現場の設備や備品を整備し、職員が働きやすい環境を作る。
【 レイアウトの見直し 】
作業効率を高めるために、職場のレイアウトを最適化する。
【 安全対策 】
職員と利用者の安全を確保するための対策を講じる。
 
 
 手順書の作成
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【 標準作業手順書の作成 】
各業務の手順を文書化し、誰でも同じように業務を遂行できるようにする。
【 手順書の更新 】
業務の変化に応じて手順書を定期的に見直し、更新する。
 

 記録・報告様式の工夫
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【 記録の簡素化
記録作業を簡素化し、職員の負担を軽減する。
【 報告様式の統
報告様式を統一し、情報の共有をスムーズにする。

 

 情報共有の工夫 
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 ICTの活用
電子カルテやタブレット端末を活用し、情報の共有を効率化する。
【 定期的なミーティング
定期的にミーティングを開催し、情報共有と連携を強化する。

 

 OJTの仕組みづくり 
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【 新人教育プログラムの整備
新人職員がスムーズに業務に慣れるよう、OJTの仕組みを整備する。
【  メンター制度の導入
経験豊富な職員が新人をサポートするメンター制度を導入する。

 

 理念・行動指針の徹底 
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【 理念の共有 】
施設の理念や目標を職員全員に共有し、一体感を持って業務に取り組む。
【 行動指針の徹底
職員が一貫した行動を取れるよう、行動指針を明確にし、徹底する。

 



また、具体的な手法として「PDCAサイクル」を用いた継続的な業務改善が推奨されています。

PDCAサイクルは、業務改善や目標達成のためのフレームワークで、4つのステップを繰り返し、継続的な改善活動を行います。

 
 PDCAサイクル 

Plan(計画): 目標を設定し、達成するための具体的な計画を立てます。
Do(実行): 計画に基づいて実際に行動します。
Check(評価): 実行した結果を評価し、計画通りに進んでいるかを確認します。
Action(改善): 評価の結果を基に、改善策を考え、次の計画に反映させます。

 
 

現役介護スタッフの声

そもそも、単純に商品を販売する商売とは異なる介護業界で、「生産性」という言葉が出てきているのは、的外れな気がします。

記録などの事務的作業にIT化が導入できたとしても、身体的なケアではどうすればよいのか、といった意見も多くみられました。

 

リフトなどの介護ロボットも動きが遅く、使用するまでにかなり時間がかかってしまいます。

かりに、IT化を積極的に進めるとしても、それを使いこなせる人員や、導入に必要な機材の経費などを確保しなければなりません。

 

また、現場の課題を可視化し、改善点を把握するために職員へのアンケートを実施している施設も多いようです。

生産性向上委員会の設置が進まない主な理由として、委員会の運営や、職員の負担が挙げられるでしょう。

 

さらにいえば、人手不足解消の対策として義務付けられたにもかかわらず人手不足で設置すらできないという矛盾さえ生じています。

 
 
 

まとめ

今回は、「生産性向上委員会」設置の義務化について簡単にまとめました。

義務化が決まったのは今年ですが、設置には3年の猶予があります。

 

そのため、2027年までに設置しなければなりません。

介護記録をデジタル化したり、見守りシステムを導入したりしている施設も中にはありますが、すべての施設で導入できるわけではありません。

 

ただ、介護業界にIT化が少しずつ広がっているのも事実です。

デジタルやロボットに任せられる業務は任せて、利用者と接する時間が増えれば、より良い介護サービスが提供できるでしょう。




 

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