胃ろうは延命治療?栄養補給の種類と特徴を詳しく解説【 後半 】
こんにちは。大阪介護転職ネットです。
前回に引き続き「胃ろう」のお話をします。
胃ろうとは、おなかに穴をあけて胃に直接栄養を注入する栄養補給法のことです。前半の記事では、胃ろうを含む栄養補給の種類について簡単にまとめています。まだ読まれていない方はそちらを先にご覧ください。
さて、日本における胃ろうの患者数は現在、だいたい何人くらいでしょうか。平成22年度のデータによると、胃ろうの患者数は、全国で約26万人といわれています。そのうち、65歳以上の高齢者が胃ろうを持つ割合は、およそ130人に1人です。
日本における、高齢者の胃ろう患者数は、海外の平均と比較してもかなり多いといえるでしょう。
というのも、胃ろうは元々小児患者用として開発されたものでした。摂食障害のある子どものためにと、1970年頃にアメリカで広まったようです。つまり、前提として、終末期を迎える高齢者を対象にした医療措置ではありません。
(ちなみに、よく誤解される方がいらっしゃいますが、胃ろうを持つ方でも口から食事を摂ることができます。必要がなくなった場合には、手術で開けた穴を後から閉じることも可能です)
しかし、現在の日本では、高齢で意思の疎通が難しい寝たきりの方や、老衰で口から食事ができなくなった方に対しても、積極的に胃ろうが導入されます。
また、身体の一部が壊死しているにも関わらず、胃ろうによって“自然に死ねない状態”になっている方もいらっしゃると聞きました。少しでも想像すると、心が痛みます。
「胃ろうは延命治療に該当するから虐待だ」と、一部で批判をされているのは、このような背景が原因かもしれません。もしこの状況が事実だとしたら、高齢者に胃ろうを施すのは、生命の自然な流れに逆行しているといっても過言ではないでしょう。
しかし、日本の制度や現状を考慮すると「胃ろうは虐待だから今すぐやめるべき」といった、単純な問題ではないような気がします…。
胃ろうを作らないと訴えられる国、日本。
胃ろうを作ると訴えられる国、欧米。
胃ろうを知らない、その他の国。
という言葉があります。
福祉大国スウェーデンでは、過剰な医療を避けるため、寝たきりの方や高齢者の胃ろう患者がほとんどいません。それどころか、介護施設自体が少ないという事実もあります
しかし、その代わりに、一人でも在宅で生活できるようにと、国全体で訪問介護の充実を図っています。(1日に3回、点眼薬だけ差しにきてくれることも…)
これは「住み慣れた自宅で人生を最後まで楽しく過ごすことが最善である」という考え方が背景にあるからです。
したがって、日本のように家族と同居する習慣がないため、子どもたちに全ての負担がかかることはありません。過度な治療を行わないため、介護疲れで苦しむ人もほとんどいないでしょう。
ただし、個々の意志は尊重されます。一人で食事ができなくなったときは、可能な限り嚥下訓練を行い、それでも困難な場合は死が近づいていると判断して、看取りに移行します。
特に、老衰の場合、食事ができないのは死が近づいているからであり、食事ができないから死ぬわけではありません。人々は、死が近づくと、死の準備として徐々に食事を摂らなくなり、体内を整理します。
スウェーデンにおける死の迎え方は、馴染みのある自宅で自然に息を引き取ることを重視し、延命治療は行いません。
日本の介護業界では、個々の「生き方」には注目が集まる一方で、「最期」の迎え方については、無意識に避けている印象があります。もしかすると、死を受け入れられない家族の意志が、胃ろうという形で現れている可能性もあるのではないでしょうか。
また、胃ろうは大きな経済的動きを伴います。利用者の治療ではなく、年金目当ての家族や、施設側一方的なの利益のために、胃ろうを施されているケースも存在するのが現実です。
高齢者の胃ろうについて、使用する利用者の状況や目的によっては延命治療に該当する場合があります。
しかし、胃ろうが延命治療であったとしても、各国の文化や制度の違いがあるため、それを誰かに押し付けることはできません。介護職員ができることは、穏やかな最期を迎えられるよう、利用者さまに寄り添い続けることです。
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